ローマ字入力
RÔMAZI-NYÛRYOKU

ローマ字入力に ついて
Rômazi-nyûryoku ni tuite

ローマ字入力の しくみ
Rômazi-nyûryoku no sikumi

ローマ字入力は 名前に「ローマ字」が はいって いますが,よく かんがえて みると,正式の ローマ字を 入力 して それを 漢字かな表記に 変換 する しくみでは ありません。独自方式の ローマ字で ふりがなを 入力 して,その ふりがなを 漢字かな表記に 変換 すると いう まわりくどい しくみです。

KUUKI「くうき」空気
KE-KI「けーき」ケーキ
KOUKI「こうき」後期

中国には ピンインと いう ローマ字が あり,ピンイン入力も あります。この ピンイン入力は 正式の ローマ字を 入力 して,それを そのまま 漢字表記に 変換 する 自然な 設計です。

NIHAO你好 〔ピンイン入力〕


日本の ローマ字入力は 設計が いびつで つかいにくい ことが わかります。ohayô(おはよう)は キーボードから かんたんに 入力 できません。konbanwa(こんばんは)は ただしく 変換 できません。ふつうは ヘボン式sampo(散歩)や matcha(抹茶)も ただしく 変換 できません。これらは すべて ローマ字入力の 設計ミスが 原因です。

[...]すでに述べたように、日本語の表記法としては、ふつうの漢字かな混じり文のほかに、ローマ字文の書きかたも国によって制定され、義務教育にも取りいれられている。したがって入力方式でも、ほかの方式とともに、正規のローマ字つずりによって入力されたものを、そのまま漢字かな混じり文に変換するものが実装されてしかるべきだ、と考えるのは自然であろう。

[...]日本語の国際的な流通性を高め、かつ日本語の文書処理の高能率化をもたらすために、現用の漢字かな混じり文に加え、将来は日本語の表記にローマ字文の併用を進めていこうと思うなら、正規のローマ字文の入力をそのまま直接漢字かな混じり文に変換するソフトは、日本のメーカーによってまっ先に実用化、商品化されてしかるべきものであろう。

山田尚勇「田中館愛橘・タイプライタ・日本文化」(2002)


ローマ字入力の 設計が まずい せいで,学校の「国語」で おしえる ローマ字と ローマ字入力で つかう ローマ字が くいちがって います。そのため,ローマ字と ローマ字入力を 同時に おしえられる こどもは ローマ字を まちがって 理解 して しまう ことが あります。しかも,ただしく かかれた ローマ字を まちで みかける ことは ほぼ ないので,自分で まちがいに 気づく きっかけも ありません。おとなでも まちがった ローマ字を かく 人が おおいのは これが 原因です。ローマ字は 日本語なのに 日本人が それを ただしく かけない 事実は,インターネットの 時代に なって 世界に しれわたり,外国人からも ふしぎに おもわれて います。これは 国際的にも はずかしい ありさまです。

この 問題は ローマ字入力の しくみを あらためる ことで 解決 できます。くわしくは「ふたつの ローマ字を 統一 する」で 説明 します。

ローマ字入力の 予備知識
Rômazi-nyûryoku no yobi tisiki

ローマ字入力の スキルを 身に つけたい 人は ローマ字を しって いなければ なりませんが,それだけでは たりません。日本語を ひらがなで かけないと いけません。つまり,ひらがなを しって いて 現代仮名遣いを つかいこなせないと いけません。もちろん 漢字仮名交じり文を かきたければ 漢字の 知識も いります。したがって,日本語が はなせても よみかきは できない 外国人や「氷」の ふりがなが「こおり」「こうり」か わからない こどもは 予備知識が たりません。


ちいさい こどもに ローマ字入力を おしえる 必要は ありませんが,もし おしえるので あれば,その 前に ローマ字を おしえて ください。「ローマ字表」を みないで ローマ字を ただしく かける ように なったら,ローマ字入力の しくみは すぐに 理解 できます。ローマ字入力を 練習 すれば ローマ字も おぼえられて 一石二鳥だと いって,こどもに いきなり ローマ字入力を おしえる 保護者が いるのですが,これは おすすめ しません。この やりかたを すると,あとから ローマ字を 勉強 するのが むつかしく なります。そのため ローマ字の 理解に 時間が かかって しまい,かえって 非効率です。

ローマ字入力の 利点と 欠点
Rômazi-nyûryoku no riten to ketten

ローマ字入力の 利点は キー配列を おぼえやすく,タッチタイピングを マスター しやすい ことです。かな入力を やろうと おもったら かな文字の キー配列と ABCの キー配列を おばえなければ なりませんが,ローマ字入力なら それが ABCの キー配列だけで いいからです。ただし,この 利点は ローマ字を しって いる 人だけの ものです。ローマ字を しらない 人は ローマ字の 勉強から はじめなければ ならず,ローマ字入力に 利点は ありません。

ローマ字入力の 欠点は キーを おす 回数が おおく タイピングが おそい ことです。かな入力や それから 派生 した もっと 便利な 方式に くらべると,ローマ字入力は タイピングの はやさで かないません。タイピングが はやく なる ように こつこつ 練習 して いる 人も いますが,本当に はやく なりたかったら ローマ字入力を やめる べきです。また,ローマ字入力は キーを おす 回数が おおい せいで 手が つかれやすい 欠点も あります。スピードが もとめられる しごとは して いないけれど,つかれにくいから かな入力を つかって いると いう 人も いますローマ字入力は かな入力より キーを おす 回数が おおく なりますが,2倍に なる わけでは ありません。拗音・促音 などは みじかく 入力 する 方法が あるからです。たとえば,「きゃ」は かな入力なら 2回(+シフトキー)ですが,ローマ字入力は KIXYA の かわりに KYA で 入力 できるので 3回です。反対に,かな入力は 濁音・半濁音 などで キーを おす 回数が ふえます。したがって,キーを おす 回数で くらべると,ローマ字入力は かな入力の せいぜい 1.5倍 くらいだと いわれて います。それでも,タイピングの はやさを もとめる 人に とって,この ちがいは おおきい はずです。いまは かな入力を つかう 人が すくなく なった せいで,かな入力の ほうが はやい 事実を しらない 人が ふえて います。かんちがい して いる 人も いるので つけくわえて おくと,英単語 などを 入力 する スピードは かな入力の 人でも ローマ字入力の 人でも まったく おなじです。したがって,英文や プログラムを かく しごとを して いる 人には ローマ字入力が いい などと いうのは まちがいです。

なぜ ローマ字入力?
Naze Rômazi-nyûryoku?

ローマ字入力と かな入力の 両方を ためして みた うえで ローマ字入力を えらんだ 人は あまり いません。学校や パソコン教室で ローマ字入力しか ならわなかったとか,しごと場が ローマ字入力に 統一 して いるとか,おおくの 人が そんな 理由で ローマ字入力を つかって います。あたえられた ものを うたがいも せず うけいれて いる わけですが,本当に それで いいのでしょうか。どの 方式が いいかと いう 議論は よく 目に しますが,それは 人に よって ちがいます。その 人が もとめて いる ものや もとめられて いる ものは まちまちだからです。この サイトは しごとや あそびで パソコンを つかう 中級者にだけ ローマ字入力を おすすめ します。


パソコンの 初心者や ローマ字を しらない 人は かな入力が いいでしょう。まだ ローマ字を ならって いない こどもに パソコンを つかわせようと して ローマ字入力を おしえる 保護者が いるのですが,ちいさい こどもに ローマ字入力を おしえる 必要は ありません。ローマ字を しらない おとなが パソコンを つかいたくて ローマ字の 勉強から はじめる ことも よく ありますが,それでは まわり道です。パソコンを ほんの すこし つかうだけなら,かな入力の ほうが かんたんです。

スクリーン キーボード
スクリーン キーボード
(堺市立図書館 蔵書検索・予約システム)

ほとんどの 一般人は ここに あてはまります。本当は,こういう 入門レベルの 人でも つかえる やさしい キーボードを 用意 する べきです。公の 施設に ある 情報機器は 五十音図の 形を した スクリーン キーボードで ふりがなを 入力 する 方式に なって いる ことが おおいでしょう。パソコンは そう なって いませんが,五十音図の 形を した「五十音図型キーボード」や かな文字の キー配列を 五十音順に した「五十音配列キーボード」を 普及 させれば,キー配列を おぼえる 必要が なく なって,いまより ずっと つかいやすく なります。

こどもには このような キーボードが 適して います。タブレットを つかう ばあいは 五十音図を もとに した キー配列の スクリーン キーボードが いいでしょう。(キー配列は この つぎの 節で 紹介 して いる ような 形に 標準化 すると いいでしょう。)いまの 小学生は 1分間に 6文字しか 入力 できませんが,おそらく これは「ローマ字表」を みながら ローマ字入力を して いるからです。外国人が この 事実を しったら おどろくのでは ないでしょうか。やさしい キーボードで かな入力を すれば,もっと すばやく 入力 できるでしょう日本の 失敗は,機械を 人に あわせなければ いけないのに,人を 機械に あわせようと して いる ことです。すすんだ 国では デジタル ディバイドを うみださない ように,IT化の いきすぎや かたよりを ふせぐ とりくみが おこなわれて います。平等で 民主的な 世の中を めざすので あれば,それが あたりまえです。ところが 日本では まったく 反対の ことが おこなわれて います。「五十音図型キーボード」や「五十音配列キーボード」が 一般に ひろまれば,パソコンで 日本語入力を する しごとは だれでも できる ように なります。もちろん かな漢字変換の しくみを 理解 しないと 日本語入力は できませんから,まったく トレーニング なしと いう わけには いきませんが,それでも キーボードの 操作を 練習 しないと しごとが できない いまより はるかに ましです。ここで しめして いる「五十音配列キーボード」は イメージです。具体的な キー配列の 提案では ありません。上の 図は 通常,下の 図は Shift を おした とき。1面と 2面の きりかえを どう するかは かんがえて いません。五十音配列の キーボードは じっさいに 商品化 されて いる ものが あります。漢字仮名交じり文を 入力 する 作業で 小学生が 1分間に 入力 できる 文字数は 5.9文字です(文部科学省「情報活用能力調査」,2014年)。

パソコンを つかう ことが ほとんど ない 人は かな入力が いいでしょう。こういう 初級レベルの 人は キーボードを みながら ゆっくり タイピング できれば それで じゅうぶんです。いわゆる「一本指打法」で かまいません。外国には 両手の 人さし指で キーボードを つつく ように タイピング して いる 人も よく います。キー配列を おぼえて いないと,ときどき キーを さがして もたもた しますから,キーを おす 回数の すくない 方式に メリットが あります。ただし,この レベルの 人でも なれて くると ABCの キー配列を 自然に おぼえて しまうでしょう。そう なったら,ローマ字入力に きりかえる 手も あります。キーを おす 回数は ふえますが,キーを さがして もたつく ことが ないので,むしろ 快適に なりますふだん スマートフォンしか つかわない 人なら フリック入力が できれば いいでしょう。パソコンを つかう ときは,つかいなれた スマートフォンを 入力用の 端末に して,それで 入力 した データを パソコンに おくりこむ ような つかいかたが ひろまって いくかも しれません。

しごとや あそびで パソコンを つかう 人には ローマ字入力が 適して います。ABCの キー配列だけ おぼえて しまえば,キーボードを みながら ローマ字入力が できます。しごとでは タッチタイピングが もとめられる ことも ありますが,タッチタイピングを マスター しやすいのは ローマ字入力です。てっとりばやく 中級者レベルの 快適さと 能率を 手に いれたかったら ローマ字入力が 一番です。

ワープロ専用機の 時代から かな入力で タッチタイピングを して いる ような ベテランが ローマ字入力を 練習 する 必要は まったく ありません。すでに 上級者レベルの 快適さと 能率を 手に いれて いるからです。

要約筆記の ように タイピングの はやさが もとめられる ばあいや,作家や 記者の ように キーボードを たたいて いる 時間が ながい ばあいは,手が つかれやすい ローマ字入力は よく ないでしょう。このような プロの レベルには かな入力や それから 派生 した もっと 便利な 方式が 適して います。

タイピングの 練習を 趣味と して たのしんで いる 人も います。そんな 人は かな入力や ローマ字入力から 派生 した 方式が たくさん あるので,いろいろ ためして みると おもしろいでしょう。


ときどき,ローマ字入力を つかって いる 人に よる ひとりよがりな 意見を みかける ことが あります。かな入力や フリック入力しか できない 人を あからさまに みくだす ものだけで なく,共用パソコンの 話題で「ローマ字入力に直す」「ローマ字入力に戻す」などの ことばづかいに 自己中心的な かんがえが あらわに なって いる ものも あります。(キーボードの かな文字の 刻印が 気に いらない 人も いる ようですが,タッチタイピングを して いたら ABCの 刻印も いらないでしょう。)入力方式は,小学校の 授業や 会社の しごとでは 特定の 方式に そろえなければ ならない ばあいも あるでしょうが,基本的に 人それぞれで かまいません。

スクリーン キーボード
Sukurîn kîbôdo

パソコンの(QWERTY配列)キーボードが つかえない 人には 五十音図を もとに した キー配列の スクリーン キーボードが いいのですが,いまは その 設計が 統一 されて おらず,キー配列も ばらばらです。これでは 不便なので,おおよその キー配列は 統一 する べきです。

下に この サイトの アイデアを デモで しめします。(ふりがなを 入力 できます。)横長の 画面では キーボードの 部分を 90度 回転 させて,「あ・い・う・え・お」が 右端に 縦に ならぶ 配列に します。

もっと おぼえやすく
Motto oboeyasuku

いまの ローマ字入力は 設計に まずい ところが たくさん あります。とくに ローマ字テーブルの 設計が よく ない せいで,キーの おしかたに 規則性が なく,おぼえにくく なって います。そのため,「とぅ」「つぇ」「ゐ」などを 入力 できない 人が います。「っ」の 入力方法も まずい ため,すこし 特殊な つづりの「あっ」「いっぬ」「うっう」などを かんたんに 入力 できません。

もし ローマ字テーブルを カスタマイズ できれば,これらの 問題は 解決 できて,ローマ字入力は もっと おぼえやすく つかいやすく なります。この サイトが すすめる ローマ字テーブルが あります。参考に して ください。

訓令式? ヘボン式?
Kunreisiki? Hebonsiki?

ローマ字入力は ローマ字(表記)の 応用ですから,ローマ字入力に 訓令式ヘボン式 などの 方式は ありません。ローマ字入力では 訓令式ヘボン式の どちらが いいかと いう 議論にも 意味は ありません。

ローマ字表記で 訓令式ヘボン式を まぜては いけませんが,ローマ字入力に そんな きまりは なく,複数の やりかたが できる ときは どの やりかたで 入力 しても かまいません。おぼえやすい キー,おしやすい キーを つかえば よく,人に よって やりかたが ちがっても かまいませんローマ字の 方式と タイピングの スピードや おぼえやすさの 関係は よく 議論に なる ようです。しかし,スピードを もとめるのなら ローマ字入力を やめて かな入力に する べきですし,規則的で おぼえやすい ほうが いいと いう 主張なら それは 日本式です。

じっさいは いろいろな 方式が まざりあって いる はずです。「し」SI「ち」TI「つ」TU に すると キーを おす 回数が すくないので,ここでは 訓令式を つかう 人が おおいでしょう。「じゃ」JA に すると キーを おす 回数が すくないので,ここでは ヘボン式を つかう 人が おおいでしょう。「ぢ」日本式DI「フィ」標準式FI,そして「ティ」は 独自方式の THI で 入力 しなければ なりません。

ふたつの ローマ字
Hutatu no Rômazi

学校の ローマ字と パソコンの ローマ字
Gakkô no Rômazi to pasokon no Rômazi

ここでは,学校の「国語」で おしえる ローマ字を《学校の ローマ字》と よび,ローマ字入力で つかう ローマ字を《パソコンの ローマ字》と よぶ ことに します。

《学校の ローマ字》は 明治時代から つかわれて いて,戦前から 一部の 学校で おしえられて いました。それに たいして,《パソコンの ローマ字》は ワープロ専用機が 開発 された あとに できた もので,1980年代の おわりごろから 一般に ひろまりました。そのため,《パソコンの ローマ字》が 最新式の ローマ字で,《学校の ローマ字》は 時代おくれの ふるくさい ローマ字だと かんがえて いる 人も いる ようですが,そうでは ありません。《パソコンの ローマ字》は 昔から ある《学校の ローマ字》を あたらしい 技術に 応用 した ものです。《学校の ローマ字》の 改良バージョンでは なく,まったく ちがう 別の ものです。

《学校の ローマ字》には 訓令式ヘボン式 などの 方式が あり,かきかたが きまって います。それに たいして,《パソコンの ローマ字》は メーカーが 独自に つくった もので,キーの おしかたに 公式の ルールは ありませんローマ字入力で ABCを ふりがなに 変換 する ルール(ローマ字テーブル)は メーカーの 独自設計です。以前は JIS規格 X 4063:2000「仮名漢字変換システムのための英字キー入力から仮名への変換方式」が あったのですが,これは 廃止 されて もう ありません。

よみかたか ふりがなか
Yomikata ka hurigana ka

《学校の ローマ字》は 日本語の よみかた(発音)を ABCで かいた ものです。それに たいして,《パソコンの ローマ字》は ふりがな(かな文字)を ABCの キーで 入力 する ものです。このように,《学校の ローマ字》と《パソコンの ローマ字》には,変換の むきが 反対と いう ちがいも ありますが,よみかたか ふりがなかと いう ちがいが あります。《学校の ローマ字》は よみかたで きまります。《パソコンの ローマ字》は ふりがなで きまります。

よみかたと ふりがなで ちがいが できる 理由は ふりがなの かきかたが おかしいからです。ふりがなは じっさいの 発音を その とおりに かかない ところが あります。逆に いえば,かいて ある とおりに よまない ところが あります。これが ふたつの ローマ字に ちがいが できる もっとも おおきな 理由です。

《学校の ローマ字》《パソコンの ローマ字》
私は【ワタシwatasi wawatasi ha「わたし
オーカミ】ôkamiookamiおおかみ」
王様オーサマ】ôsamaousamaおうさま」
三日月【ミカキ】mikazukimikaduki「みかき」

【 】は よみかたを,「 」は ふりがなを しめして います。


表音文字は 音声を あらわす 文字です。この 基本に もどって かんがえれば,ふりがなの かきかたには まずい ところが あります。その ふりがなを 入力 する しくみに なって いる《パソコンの ローマ字》も 設計が わるいと いえます。《学校の ローマ字》と《パソコンの ローマ字》を くらべると,全体的には《学校の ローマ字》の ほうが よく できて います。この 事実は,ふたつの ローマ字が くいちがって いる 問題を 解決 しようと する とき 重要に なるので,おぼえて おいて ください。


ふたつの ローマ字に ちがいが できる 理由は ほかにも ありますから,この あとでは もっと こまかく きりわけて しめします。

長音(ー)
Tyôon

長音を ふくむ ことばでは ふたつの ローマ字に ちがいが できます。

《学》 ôsama(王様)
《パ》 ousama(王様)
《学》 ôi(多い)
《パ》 ooi(多い)
《学》 ôrora(オーロラ)
《パ》 o-rora(オーロラ)

撥音(ん)
Hatuon

撥音の つぎに 母音・ヤ行音・ナ行音が あると,ふたつの ローマ字に ちがいが できます。

《学》 kin'en(禁煙)
《パ》 kinnen(禁煙)
《学》 sin'ya(深夜)
《パ》 sinnya(深夜)
《学》 onna(女)
《パ》 onnna(女)

これは ローマ字入力の 設計ミスが 原因です。「ん」NN で 入力 する ように したのが 失敗でした。撥音の つぎに 母音・ヤ行音が ある ときは n'「ん」を 入力 する ように して,撥音の つぎに ナ行音が ある ときは nn を 促音と 解釈 しない 設計に する べきでした。

n' は キーが おしにくいですが,' を 別の 記号(もっと おしやすい キー)に すれば つかいやすく なります。「ん」専用の キーを つくれば さらに つかいやすく なります。ローマ字入力は ABCの キーで ふりがなを 入力 する 方式ですから,本当は「ん」に 対応 する キーを つくるのが 自然な 設計だった はずです。じっさい,昔は X「ん」を 入力 できる 製品も ありました。ところが,この キー操作は ひろまらず,いつのまにか NN が 一般的に なって しまいましたn' は つかえる ことも ありますが,存在 じたいが しられて おらず,つかわれて いません。X は すこし おしにくい キーなので きらわれたのかも しれませんが,それなら もっと おしやすい キーに すれば よかった はずです。この サイトが すすめる ローマ字テーブルL「ん」を 入力 できる ように して います。


一般的な ヘボン式b, m, p の 前に ある 撥音を m と かきますが,ローマ字入力では n に しないと 変換 できないのが ふつうです。

《学》 sampo(散歩)〔ヘボン式
《パ》 sanpo(散歩)

促音(っ)
Sokuon

《学校の ローマ字》は「あっ」a' と かきますが,ローマ字入力で この やりかたは つかえません。

《学》 a'(あっ)
《パ》 altu, axtsu(あっ)


ヘボン式ch の 前に ある 促音を t と かきますが,ローマ字入力では c に しないと 変換 できないのが ふつうです。

《学》 matcha(抹茶)〔ヘボン式
《パ》 maccha(抹茶)

助詞の「は」「へ」「を」
Zyosi no は, へ, を

助詞の「は」「へ」「を」は ふたつの ローマ字に ちがいが できます。

《学》 watasi wa(私は)
《パ》 watasi ha(私は)
《学》 doko e(どこへ)
《パ》 doko he(どこへ)
《学》 nani o(何を)
《パ》 nani wo(何を)

「ぢ」「づ」「ぢゃ」「ぢゅ」「ぢょ」
ぢ, づ, ぢゃ, ぢゅ, ぢょ

「ぢ」「づ」「ぢゃ」「ぢゅ」「ぢょ」でも ちがいが できます。

《学》 hanazi(鼻血)
《パ》 hanadi(鼻血)
《学》 Takarazuka(宝塚)
《パ》 Takaraduka(宝塚)
《学》 Sangenjaya(三軒茶屋)〔ヘボン式
《パ》 Sangendyaya(三軒茶屋)

特殊音
Tokusyuon

《学校の ローマ字》は 特殊音【ティ】【ファ】【チェ】 など)の かきかたが 公式ルールで きまって いません。

《学》 ?(ファン)〔きまりが ない〕公式の かきかたが さだめられて いないだけで,じっさいには いろいろな かきかたが おこなわれて います。よく つかわれるのは,訓令式では hwanヘボン式では fan です。
《パ》 fan(ファン)

発音 できない かな文字表記
Hatuon dekinai kanamozi hyôki

《学校の ローマ字》は 発音 できない ものを かけませんが,《パソコンの ローマ字》は,「っ」「ゃ」「ぁ」「ー」などを それだけで 入力 できるので,じっさいには 発音 できない かな文字表記も 入力 できます。

《学》 ?(アッー)〔かけない〕
《パ》 altu-, axtsu-(アッー)

ことなる 方式を まぜる
Kotonaru hôsiki o mazeru

《学校の ローマ字》は 訓令式ヘボン式を まぜて つかえませんが,《パソコンの ローマ字》に そんな きまりは なく,キー操作が しやすい やりかたで 入力 できます。

《学》 zyosi, joshi(女子)
《パ》 zyosi, joshi, josi, zyoshi(女子)

独自の つづり
Dokuzi no tuzuri

《パソコンの ローマ字》には 独自の つづり(キーの おしかた)が あります。

《学》 otya, ocha(お茶)
《パ》 otya, ocha, ocya(お茶)

そのほか
Sono hoka

《学校の ローマ字》は かならず 分かち書きを します。どこを くっつけて どこを きりはなすかには きまりが あります。

《学》 sosite dare mo inaku natta(そして誰もいなくなった)
《パ》 sositedaremoinakunatta(そして誰もいなくなった)


《学校の ローマ字》には 大文字と 小文字の つかいわけが あります。

《学》 Yamada Hanako(山田花子)
《パ》 yamadahanako(山田花子)


《学校の ローマ字》には つなぎ(-)を いれる ことが あります。

《学》 3-nen 2-kumi(3年2組)
《パ》 3nen2kumi(3年2組)
《学》 Mie-ken Tu-si(三重県津市)
《パ》 miekentusi(三重県津市)


ほかにも 記号の つかいかた など,こまかい ちがいが たくさん あります。ローマ字の かきかたは「ローマ字の かきかた」「分かち書き」「固有名詞」「特殊音」「代用表記」などで くわしく 解説 して います。

「ワープロ式」
"Wâpurosiki"

「ワープロ式」の かきかた
"Wâpurosiki" no kakikata

ローマ字(表記)と ローマ字入力を 混同 して いる 人が おおい せいで,おなじ くせを もった まちがいかたの ローマ字が ひろまって います。つぎの ような かきかたです。

okaasan(お母さん)
otousan(お父さん)
ohayou(おはよう)
konbanha(こんばんは)
ookii(大きい)
Yuduru結弦
onnna(女)
bo-ru(ボール)

この かきかたは「ワープロ式」と よばれて います。ローマ字と しては 完全な まちがいです。ローマ字を きちんと 理解 して いる 人でも,ローマ字入力に なれて いると,うっかり やって しまう ことが ありますから,気を つけて ください。

「ワープロ式」の 利点
"Wâpurosiki" no riten

「ワープロ式」は 長音符号つき文字û, ô など)を つかわないので,キーボードで 入力 する ときに 便利です。これは 利点とも みなせます。また,「ワープロ式」は 本質的に 現代仮名遣いと おなじ かきかたなので,実用レベルでは ほぼ まちがいなく よめます。ローマ字と しては 完全に まちがいですが,実用性が あります。この 意味で,「ワープロ式」は「英語式」より はるかに ましです。

「ワープロ式」の 欠点
"Wâpurosiki" no ketten

ローマ字は 日本語の 音声を ABCに 変換 した ものです。ふりがなを ABCに 変換 した ものでは ありません。これは ローマ字が はじめて つくられた ときから そうでした。16世紀の 日本に やって きた 外国人は「奉公(ほうこう)」fôcô と かいて いましたし,明治時代の 日本人は「今日(けふ)」kyô と かいて いました。このように,もともと ローマ字は ことばの 音声を ABCに 変換 する ものです。この 意味で,ふりがなを ABCに 変換 する「ワープロ式」は ローマ字の かんがえかたから はずれて います。

「ワープロ式」を よみかき できるのは 現代仮名遣いを しって いる 人だけです。しかし,現代仮名遣いには 不合理で ややこしい ところが あり,これを おぼえるのも つかうのも かんたんでは ありません。「ワープロ式」を だれに とっても やさしい ローマ字と かんがえるのは あやまりで,現代仮名遣いが わからない ちいさい こどもや 外国人は「ワープロ式」も わかりません。ローマ字には 日本語の よみかきを やさしく する 目的が あるのですから,ローマ字が 現代仮名遣いに よりかかった かきかたでは いけません現代仮名遣いを 理屈で おぼえた 人は いない はずです。たとえば,「氷」「公理」の 発音は どちらも【コーリ】なのに,どうして これらを「こおり」「こうり」と かくのか,理屈で 説明 できる 人は すくないでしょう。つまり,理屈で なく 暗記に ちかい やりかたで おぼえたのです。これは たいへん 効率の わるい 学習方法ですが,そう するしか ありませんでした。なぜなら,現代仮名遣いの ルールは 歴史的仮名遣いの ルールに 依存 して いる ところが あるからです。現代仮名遣いを 理屈で おぼえようと すれば,歴史的仮名遣いの 知識が いります。けれども,歴史的仮名遣いは とても むつかしく,小学生に わかる 説明が できません。ローマ字には 日本語を 合理的に かく 目的が あります。これは かんたんな 理屈で 説明 できる かきかたに する ことで,つまり よみかきを やさしく すると いう 意味です。ローマ字の 目的に ついては「ローマ字の 目的」も およみ ください。

現代仮名遣いは ときどき よみかたが わからない つづりに なる ことが あります。「ワープロ式」は この 欠点を ひきついで しまいます。「講師」「子牛」「香美」「小海」は つづりが ちがいます。しかし,「ワープロ式」だと これらは つづりが おなじに なって しまい,kousiKoumi を みても ただしい よみかたが わかりません。ワープロ式が 実用レベルで 問題なく よめるのは 文章の 前後関係が ヒントに なる ばあいだけで,文脈から 単語を おしはかれない 人名・地名 などは しばしば よめなく なります。これでは 実用レベルで 問題ないとも いえません。

学校の「国語」で おしえる 訓令式は 日本語の 性質に あわせて 設計 されて いるので,日本語の 研究,「国語」の 勉強,そして 外国人に 日本語を おしえる 日本語教育で 役に たちます。しかし,「ワープロ式」は ふりがなを もとに した 暗号 みたいな もので,ふりがな 以上の 役に たちません外国人に 日本語を おしえる ときは,はじめに 訓令式の ローマ字を おしえる べきです。旅行で つかう 会話を おぼえたい 人に 漢字や かな文字を おしえる 必要は ないでしょう。

ローマ字テーブル
Rômazi têburu

ローマ字入力は ローマ字テーブルの 設計が まずい せいで キーの おしかたに 規則性が ありません。そのため,おぼえにくい ところが あり,「とぅ」「つぇ」「ゐ」などを 入力 できない 人が います。また,すこし かわった つづりの「あっ」「いっぬ」「うっう」などを かんたんに 入力 できません。

ローマ字テーブルを 変更 すれば この 問題は 解決 できます。ローマ字テーブルを カスタマイズ する 人の ために,この サイトの アイデアを しめして おきます。参考に して ください。

特色は つぎの とおり。

基本
AIUEO
KAKIKUKEKO
SASISUSESO
TATITUTETO
NANINUNENO
HA
 
HI
 
HU
FU 1
HE
 
HO
 
MAMIMUMEMO
YAYIYUYEYO
RARIRURERO
WAWIWUWEWO
GAGIGUGEGO
ZA
 
ZI
JI 1
ZU
 
ZE
 
ZO
 
DADIDUDEDO
BABIBUBEBO
PAPIPUPEPO
VU 1
イ段+「ゃ」「ぃ」「ゅ」「ぇ」「ょ」 (-Y-)
いゃいぃいゅいぇいょ
XYAXYIXYUXYEXYO
きゃきぃきゅきぇきょ
KYAKYIKYUKYEKYO
しゃしぃしゅしぇしょ
SYASYISYUSYESYO
ちゃちぃちゅちぇちょ
TYATYITYUTYETYO
にゃにぃにゅにぇにょ
NYANYINYUNYENYO
ひゃひぃひゅひぇひょ
HYAHYIHYUHYEHYO
みゃみぃみゅみぇみょ
MYAMYIMYUMYEMYO
りゃりぃりゅりぇりょ
RYARYIRYURYERYO
ぎゃぎぃぎゅぎぇぎょ
GYAGYIGYUGYEGYO
じゃじぃじゅじぇじょ
ZYA
JA 1
ZYI
 
ZYU
JU 1
ZYE
JE 1
ZYO
JO 1
ぢゃぢぃぢゅぢぇぢょ
DYADYIDYUDYEDYO
びゃびぃびゅびぇびょ
BYABYIBYUBYEBYO
ぴゃぴぃぴゅぴぇぴょ
PYAPYIPYUPYEPYO
ウ段+「ぁ」「ぃ」「ぅ」「ぇ」「ぉ」 (-W-)
うぁうぃうぅうぇうぉ
XWAXWIXWUXWEXWO
くぁくぃくぅくぇくぉ
KWAKWIKWUKWEKWO
すぁすぃすぅすぇすぉ
SWASWISWUSWESWO
つぁつぃつぅつぇつぉ
TWATWITWUTWETWO
ぬぁぬぃぬぅぬぇぬぉ
NWANWINWUNWENWO
ふぁふぃふぅふぇふぉ
HWA
FA 1
HWI
FI 1
HWU
 
HWE
FE 1
HWO
FO 1
むぁむぃむぅむぇむぉ
MWAMWIMWUMWEMWO
るぁるぃるぅるぇるぉ
RWARWIRWURWERWO
ぐぁぐぃぐぅぐぇぐぉ
GWAGWIGWUGWEGWO
ずぁずぃずぅずぇずぉ
ZWAZWIZWUZWEZWO
づぁづぃづぅづぇづぉ
DWADWIDWUDWEDWO
ぶぁぶぃぶぅぶぇぶぉ
BWABWIBWUBWEBWO
ぷぁぷぃぷぅぷぇぷぉ
PWAPWIPWUPWEPWO
ヴぁヴぃヴぅヴぇヴぉ
VWA
VA 1
VWI
VI 1
VWU
 
VWE
VE 1
VWO
VO 1
エ段+「ゃ」「ぃ」「ゅ」「ぇ」「ょ」 (-J-)
てゃてぃてゅてぇてょ
TJA
 
TJI
T'I
TJU
 
TJE
 
TJO
 
でゃでぃでゅでぇでょ
DJA
 
DJI
D'I
DJU
 
DJE
 
DJO
 
オ段+「ぁ」「ぃ」「ぅ」「ぇ」「ぉ」 (-V-)
とぁとぃとぅとぇとぉ
TVA
 
TVI
 
TVU
T'U
TVE
 
TVO
 
どぁどぃどぅどぇどぉ
DVA
 
DVI
 
DVU
D'U
DVE
 
DVO
 
ウ段+「ゃ」「ゅ」「ょ」 (-WY-)
ふゃふゅふょ
HWYA
FYA 1
HWYU
FYU 1
HWYO
FYO 1
ぶゃぶゅぶょ
BWYABWYUBWYO
ヴゃヴゅヴょ
VWYA
VYA 1
VWYU
VYU 1
VWYO
VYO 1
小がきの 文字と 記号 (X-)
XAXIXUXEXO
XTUXJA 2XJU 2XJO 2XVA 2
XKAXKEXB 3XP 3XD
特殊拍(撥音・促音・長音)
N, NN, N'L 4Q 4-C 4

(1) F, J, V の 系列は のこして あります。

(2) すこし かわって いるので,気を つけて ください一般的な ローマ字入力では「ゃ」「ゅ」「ょ」「ゎ」を 入力 する キー操作は XYA, XYU, XYO, XWA です(XL でも いい)。もし 「ゃ」を だそうと して XYA と キーを おして しまっても,「いゃ」に 変換 されるので,「ゃ」が でて きます。しかし,「ゎ」を だそうと して XWA と キーを おして しまうと,「うぁ」に 変換 されるので,「ゎ」が でて きません。

(3) 濁点と 半濁点を むりやり つける ときに つかいます。

(4) LQC は 単独で「ん」「っ」「-」を 入力 する キーです。つぎの ように つかいます。


Google日本語入力用の 設定ファイルが あります。ご自由に おつかい ください。

この キー操作は この サイトが すすめる 特殊音の かきかたを もとに して います。くわしくは「この サイトの かきかた」を およみ ください。

ふたつの ローマ字を 統一 する
HUTATU NO RÔMAZI O TÔITU SURU

あらまし
Aramasi

現状の 問題
Genzyô no mondai

学校の「国語」で おしえる《学校の ローマ字》と ローマ字入力で つかう《パソコンの ローマ字》は ちがいます。これでは 実用上の 不便や 教育上の むだが あり,何も いい ことが ありません。いまは 小学生に ローマ字と ローマ字入力を 同時に おしえて いますが,これが かえって ローマ字の 理解を さまたげて います。おとなでも ローマ字と ローマ字入力を 混同 して まちがった ローマ字を かく 人が います。

《学》 ohayô(おはよう) konbanwa(こんばんは)
《パ》 ohayou(おはよう) konbanha(こんばんは)

そこで,ふたつの ローマ字を 統一 できないか かんがえます。

かなづかいを あらためる
Kanazukai o aratameru

ひとつの 道は 現代仮名遣いを あらためる ことです。現代仮名遣いは 発音と つづりを 一致 させる 表音主義の かんがえで 歴史的仮名遣いを あらためた つづりかたです。ただし,まだ 不完全な ところが あり,発音と つづりが すこし ずれて います。現代仮名遣いを さらに あらためて 発音と つづりを ちかづけたら,ふたつの ローマ字も 自動的に ちかづきます。

具体的には「おはよう」「こんばんは」「おはよー」「こんばんわ」に かえます。この かきかたは 昔から あり,わかい 世代には うけいれられて います。発音と つづりの ずれが ないので,日本語の よみかきが やさしく なり,こどもや 外国人が 日本語を まなびやすく なります。日本語が より 能率的・民主的に なる わけです。

《学》 ohayô(おはよー) konbanwa(こんばんわ)
《パ》 ohayo^(おはよー) konbanwa(こんばんわ)

しかし,一部の 保守派は これに すさまじい 反発を しめします。ほとんどの 一般人も,これからの 日本より いまの 自分が だいじなので,習慣を あらためる 提案には つめたい 態度を とりがちです。かなづかいの 改革が ひろい 共感を えるのは むつかしく,前むきな 議論が おこなわれる ことも なさそうです。

ローマ字を あらためる
Rômazi o aratameru

もう ひとつの 道は,ふたつの ローマ字の うち どちらか 一方を かえる ことです。やりかたは ふたつ あります。

  1. 《学校の ローマ字》を かえて《パソコンの ローマ字》に あわせる。
  2. 《パソコンの ローマ字》を かえて《学校の ローマ字》に あわせる。

あらため案 1
Aratamean 1

あらため案1は《学校の ローマ字》を かえて《パソコンの ローマ字》に あわせます。ローマ字は 日本語の 音声を ABCで かく ものですが,あらため案1は この 原則を かえて しまう わりきった かんがえです99式は これに ちかいとも かんがえられます。

あらため案 1
《学》 ohayou(おはよう) konbanha(こんばんは)
《パ》 ohayou(おはよう) konbanha(こんばんは)


しかし,この やりかたでは ローマ字が いちじるしく 劣化 します。あらため案1の ローマ字は 現代仮名遣いを しって いる 人にしか よみかき できません。いまの ローマ字は かいて ある とおりに よめて よんで いる とおりに かけますが,あらため案1の ローマ字は それも できません。これらの 欠点は すくいようが なく,あらため案1は とれませんあらため案1の ローマ字では,kousi「講師」の 意味なら【コーシ】と よみ,「子牛」の 意味なら【コウシ】と よみます。かきかたが おなじでも よみかたが ちがいます。【トーリ】「通り」の 意味なら toori と かき,「党利」の 意味なら touri と かきます。よみかたが おなじでも かきかたが ちがいます。もし 文脈から 意味が わからなかったら,よめなかったり かけなかったり します。しらない 固有名詞だったら お手あげに なるかも しれません。


じつは,こう なるのは あたりまえです。ローマ字の かきかた(訓令式)と ふりがなの かきかた(現代仮名遣い)を くらべると,全体的には ローマ字の かきかたの ほうが うまく 設計 されて いるからです。

したがって,ふたつの ローマ字の うち どちらかを かえると したら,かえるのは《パソコンの ローマ字》です。

あらため案 2
Aratamean 2

あらため案2は《パソコンの ローマ字》を かえて《学校の ローマ字》に あわせます。

あらため案 2
《学》 ohayô(おはよう) konbanwa(こんばんは)
《パ》 ohayo^(おはよう) konbanwa(こんばんは)


この ローマ字入力では,「空気」「ケーキ」「後期」kûki, kêki, kôki と いう ローマ字で 入力 しますが,キーボードには û, ê, ô などの 文字を 入力 する キーが ありません。そこで,kuuki, keeki, kooki または ku^ki, ke^ki, ko^ki と いう 代用表記で 入力 します。

いまの ローマ字入力
KUUKI「くうき」空気
KE-KI「けーき」ケーキ
KOUKI「こうき」後期

あらため案 2-A(母音字かさね式)
KUUKI空気
KEEKIケーキ
KOOKI後期

あらため案 2-B(^後置式)^ は すこし おしにくいので,@; でも いい ように すると つかいやすく なります。この あたりの 操作性は アイデアしだいで よく なります。
KU^KI空気
KE^KIケーキ
KO^KI後期

あらため案2は 中国の ピンイン入力と おなじ しくみです。ふりがなに 依存 しない 自然な 設計で,いまの ローマ字入力より はるかに やさしい 方式ですあらため案2は かな入力と ローマ字入力で おなじ 変換辞書が つかえません。いまの ローマ字入力が 2段階の 変換に なって いるのは,かな入力と ローマ字入力で おなじ 変換辞書が つかえるからです。1980年代は まだ 機械の 性能が わるく,変換辞書を 共用 できる やりかたが 採用 されたのでしょう。人間が 機械に あゆみよって いたとも いえます。機械の 性能が よく なった いまは 機械を 人間に あわせる やりかたに かえないと いけません。本当は,ローマ字に くわしい 専門家が つよく すすめて いた ように,おそくても 1990年代の うちに ローマ字入力の しくみを かえる べきでした。日本の 生産性が 外国に くらべて ひくいのも,ローマ字を ただしく かけない 人が おおい せいで 世の中が 混乱 して いるのも,それを しなかった 結果です。産業・教育に かかわる 行政の 失敗が 日本を おとろえさせた 原因の ひとつで ある ことは うたがいようが なく,その 責任は きびしく とわれなければ なりません。


これが できれば,《学校の ローマ字》と《パソコンの ローマ字》の くいちがいは なく なります。ローマ字入力で 本物の ローマ字を 入力 できる ように なれば,小学生が ローマ字と ローマ字入力を 同時に おしえられても 混乱 せず,ローマ字を ただしく 理解 できます。「ワープロ式」の まちがいも なく なります。ローマ字を ただしく かける 人が ふえる ことは 日本の 産業・文化 そして 日本語 そのものを 発展 させる 力に なると かんがえられ,こんなに いい ことは ありません。

かなづかいの 改革
Kanazukai no kaikaku

あらため案2は 日本語の 表記システムに よい 影響を あたえます。「おはよー」「こんばんわ」の 違和感が うすれて,かなづかいの 改革を うながす 力が うまれるからです。

現代仮名遣いには 不合理な ところが あり,おぼえるのも つかうのも かんたんでは ありません。「氷」「公理」「小売り」の 発音は【コーリ】【コーリ】【コウリ】ですが,ふりがなは「こおり」「こうり」「こうり」です。なぜ こんな おかしな ことに なるのかを 理屈で 説明 できる 人は すくないでしょう。これを あらためて,ふりがなを「こーり」「こーり」「こうり」に すれば こどもでも すぐに おぼえられます。「こうり」の よみかたが【コーリ】【コウリ】か わからない 問題も 解決 します。

日本語の 表記システムが やさしく なれば,日本語が おぼえやすく つかいやすく なり,日本の 産業や 文化が 発展 します。日本語の かきことばが むつかしくて こまって いる 人も 情報や 知識を えられる ように なり,世の中が より 民主的に なります。外国人が 日本語を まなびやすく なり,日本語の 国際的な 地位が たかまるだけで なく,日本と 外国の 関係が よく なります。

外国では かきことばの 改革が よく おこなわれます。たとえば,ポルトガル語は ポルトガルと ブラジルで かきかたに ちがいが あった ため,さまざまな むだと 不便が ありました。そこで,2009年に かきかたを 統一 しました。この 改革には 工業製品や 文字情報の 流通を よく する 経済的な もくろみだけで なく,ポルトガル語の 国際的な 地位を たかめる 政治的な ねらいも ありました。国連の 公用語が 目標とも いわれて います。このように,言語政策は 国の 戦略でも ある わけですかきかたを 統一 するに あたって,全体的に ブラジルの かきかたに ひきよせる 形に なりました。人口が すくないとは いえ 本家が 道を ゆずった わけで,ポルトガル人の 心は おだやかで なかったかも しれません。身を きる 決断が できたのは つよい 目的意識が あったからでしょう。ところで,日本の 経済力から かんがえると,国連で はたらく 日本人の 割合は すくない ことが しられて います。その 理由は 日本語が 国連公用語に なって いない ことです。国連の 職員には 国連公用語の 中の すくなくとも ふたつの 言語を あやつれる 語学力が もとめられ,これが 日本人に とって たかい 壁に なって います。もし 日本語が 国連公用語に なれば,日本の メリットは どれだけ おおきいでしょうか。しかし,日本の 指導者には このような 戦略を かんがえる 能力が ありません。言語を 文化としか みて いないからです。これでは 日本語の 国際的な 地位が たかまる のぞみも ありません。一般人も 日本語の はなしと いえば 耳に ここちよい 文化の はなしに かたむきがちです。もちろん それも たいせつですが,言語の 問題は 世の中の 問題でも ある ことを わすれては いけません。

日本も かきことばの 改革を 意識的に すすめて いく べきです。それには すこしずつ 漢字を へらして いく かな文字論ローマ字論や 漢字かな表記と ローマ字表記の 2本だてに して いく「二表記社会」などが ありますが,漢字仮名交じり文の かきかたを あらためる 範囲内で できる ことも たくさん あります。その ひとつが かなづかいの 改革です。もし ローマ字入力が あらためられたら,それが 自然に すすんで いくかも しれません。「棒引き仮名遣い」も およみ ください。

[よみもの]かな漢字変換
[Yomimono] Kana-kanzi henkan

機械で 日本語の 文章を かく とき,いまは パソコンや スマートフォンに くみこまれて いる 日本語入力システムを つかって 漢字仮名交じり文が かけます。しかし,タイプライターを つかって いた 時代には かな文字文や ローマ字文しか かけませんでした。漢字仮名交じり文が かける ように なり,便利に なった ように おもえますが,本当に そうでしょうか。そうとは いえません。漢字仮名交じり文には 不便な ところが あるからです。それは かな漢字変換です。


かな漢字変換

漢字仮名交じり文を 入力 するには かな漢字変換を しなければ なりません。これは 画面に 表示 された 変換候補を 目で みて おこないます。タッチタイピングが できる 人でも 画面は みなければ なりません。手がきの 原稿を 機械で 清書 する ような 作業では,原稿と 画面とを 交互に みなければ ならず,作業の 能率が いちじるしく おちて しまいます。

パソコンで 文書が つくれる ように なって,日本は しごとの 能率でも 欧米に おいついたと おもって いる 人が いるかも しれません。しかし,事実は まったく ちがいます。文書を つくる スピードで くらべたら,日本は 欧米の 足もとにも およびませんよく ローマ字入力と かな入力の どちらが いいかが 議論に なりますが,かな漢字変換を やって いる かぎり ドングリの せいくらべです。漢字を やめなければ 日本は しごとの 能率で 欧米に おいつけません。ワープロや パソコンの おかげで 漢字の 問題(国語国字問題)は 解決 したと おもって いる 人が おおいでしょう。しかし,それは おおまちがいです。漢字の 問題と いうのは 日本語を 漢字で かく 不合理の ことで,これは 漢字を やめない かぎり 解決 しません。

かな文字文や ローマ字文には「かな漢字変換」の むだが ありません。手がき原稿を 清書 する ときは,原稿だけ みて いれば いい わけです。文章を かんがえながら かく ときは,目を とじた まま 作業が できるかも しれません。

ローマ字運動の 父と よばれる 田中館愛橘(たなかだて あいきつ)は 明治から 昭和に かけて 活躍 した 人です。かれの しごとべやからは いつも タイプライターの キーを たたく 音が きこえて いました。昔は 停電が おおく,とつぜん へやが まっくらに なる ことも ありましたが,そんな ときも タイプライターの 音が とぎれる ことは なかったと いわれて います偉人の エピソードです。どこまで 本当の はなしか わかりません。